
東大は3月28日、三菱商事からの6億円の寄付により、技術発掘・起業支援プログラム「Tech Incubation Palette」を設立することを発表した。
「Tech Incubation Palette」では、東大が主体となり、東大に潜在する有望技術の発掘から事業化までの一貫した支援を行うことで、東大発のスタートアップ創出数の拡大を目指す。三菱商事は寄付金だけでなく、産業知見やグローバルな企業ネットワークなどを東大に提供し、多角的な支援を行う予定。民間企業の知見・ネットワークを活用した全学横断での起業支援プログラムは、東大にとって初の取り組みだ。
東大には有望な研究・技術が多数存在する一方で、社会実装に至るまでの支援にはいまだ課題が多く残る。こうした現状への問題意識からこのプログラムは生まれた。東大が現在行っているさまざまなスタートアップ支援プログラムの隙間を埋める中核的なプログラムとして、プログラム同士を円滑につなぐことを狙いとする。
実施期間は2025年度から28年度までの4年間を予定。プログラム運営費は三菱商事からの寄付で賄うという。
「Tech Incubation Palette」では、有望技術の探索・育成から、起業家と技術とのマッチング、起業準備までを一貫して支援する。従来は、研究者が東大に発明届を出すことで起業支援が始まっていたが、このプログラムでは東大側から技術の発掘を行う。研究の方向性に関して助言などを行うことで、研究の早期段階からのサポートが可能となる点に特徴がある。
三菱商事の中西勝也社長は、東大の持つトップクラスの技術力を、産業界に実装してほしいという純粋な思いで今回の寄付に至ったと説明。「日本の強みは何かという原点を追求」するために、今回の寄付金を「自由度を持って使って」ほしいとして、東大に期待を寄せた。
東大は2023年度より、10年後の年間起業支援数を300件に増やすことを掲げてきた。東大関連ベンチャーの累計企業数は、638社にのぼる(2025年3月末時点)。